以前、本ブログでも取り上げた嶋村吉洋さん。実業家として、また、作家、映画プロデューサーとしてななど、多彩な活躍をされています。
そんな嶋村さんですが、新刊『となりの億万長者が17時になったらやっていること』を2024年4月に発表しました。
特徴的な題名の著作ですが、実際に読んでみるとこれまで本ブログで取り上げた他の経営者の価値観に通じるものがあります。
今回は、嶋村さんの新刊の内容を踏まえつつ、経営者の考える『コミュニティ』について紹介します。
「人とのつながり」がビジネスを決める時代
嶋村さんが『となりの億万長者が17時になったらやっていること』のなかで伝えているのは、「コミュニティ作りをしてから、コミュニティメンバーに必要とされるビジネスを立ち上げる」という考え方です。
「世の中の多くの起業家が、ビジネスを立ち上げた後に、集客(コミュニティ作り)を始め、結果的に多くが廃業している。やることは一緒でも順序が異なる」という嶋村さんの主張には、納得せずにはいられませんでした。
また、嶋村さんは同時に、コミュニティに好かれる自分であることの重要性や、長く継続するコミュニティの特徴についても説明しています。
具体的には以下のようなポイントを挙げています。
・まず自分が「提供すること」から始める。
・新しい情報や人との出会いを大事にしている。
・共通の価値観、言語、目標を持つ。
ここに挙げた3つは、個人のスキルによらない、いわば「誰でもできる」ことだと思います。
言い換えれば、「コミュニティづくりを通じたビジネスの立ち上げ」は誰でも取り組めるということだと思います。
より詳しく知りたい方は実際に同書を読んでみることをおすすめします。
コミュニティの重要性やその特徴
コミュニティの重要性やコミュニティ運営において大事にすべきポイントについては、これまで本ブログで紹介した経営者のなかでも、触れている方がいます。
そのなかから、今回は4人の経営者とその考え方を紹介します。
・感謝を伝える 〜中村友哉さん〜
「誰かに貢献する」という観点で、褒めることや感謝することの有用性については、様々なところで紹介されています。
Axelspace(アクセルスペース)社の中村友哉さんは、褒めることが相手の自己重要感を高める以外にも、感謝された人の一面を他のメンバーが知ることができ、自分の仕事以外にチーム内で起こっていることを知る機会になる、と述べています。
また、嶋村さんの場合は、「褒める文化が成長へのモチベーションになる」とも述べています。
褒めることの重要性を理解していることが、経営者として大きな成果を出すために必要な要素なのかと思わせられます。
・「新陳代謝が高いコミュニティに価値がある」〜成田悠輔さん〜
イェール大学の助教授など、教育分野での実績を持つ成田悠輔さんは、「思い込みや常識にとらわれない自由な発想をするために、違う業界の人、違う世代の人とかかわってみる経験が大切である」と述べています。
「アメリカの大学は授業や教育が果たしている割合が少ないが、様々な人が巨大なコミュニティを形成し、かつ数年すると全員入れ替わっているという異様に新陳代謝が高いコミュニティとなっていて、それが違う業界の人、違う世代の人とかかわってみる経験、そして自由な発想に繋がっている」と示唆しています。
・アイディアの多様性と共通のビジョン 〜青野慶久さん〜
経営者として、多様性を受け入れ、働き方改革や夫婦別姓の問題に積極的に取り組んでいる、サイボウズ社・青野慶久さん。
青野氏の提唱する「フラスコ理論」は、「多様なアイディアはビジョンによって方向性が定まることで斬新なアイディアになる」という考え方です。
共通の価値観に多様なアイディアを組み合わせることの価値を、サイボウズ社自身の成長で青野さんが示しています。
・フラットな組織の徹底 〜星野佳路さん〜
日本を代表するリゾートホテルのトップである星野佳路さん。
星野リゾートでは、トップダウンにこだわる文化はなく、役職に関わらず「同じテーブルで議論できる文化」を大切にしています。
これは、時間や労力が掛かっても現場にいるスタッフの意見や議論を大事にし、「現場をより多く知っているスタッフが議論を導いたほうが、より正しい判断につながる」という価値観がベースにあるためです。
アイディアが多様なだけでなく、それをコミュニティの意思決定に反映できなければ意味がありません。誰でも議論に参加できるフラットさは、どんなコミュニティでも大切と言えるでしょう。
コミュニティを持っている人が最後に勝つ
今回は、嶋村吉洋さんの新刊をヒントに、経営者の考える『コミュニティ』について紹介しました。
嶋村さんだけでなく、世の中で活躍する経営者は、コミュニティやコミュニティ作りが経営にとって重要な要素だと考えています。
これからの時代のキーになるであろうコミュニティ作りについては、これからも注目していきたいと思います。