森岡毅さんがアイディアでV字回復させたユニバーサル・スタジオ・ジャパン

前回は森岡毅さんがP&Gにいた時代について書いていきました。

今回は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを運営する株式会社ユー・エス・ジェイ時代。

森岡毅さんが2010年6月に入社した時は、入場者数が750万人程度だったところから、2016年には1,460万人と倍以上までのばしています。
その立役者となったのが2014年にオープンしたハリーポッターの魔法の世界観を再現した『The Wizarding World of Harry Potter』。当時、800億円の売上だったユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)において450億円もの投資をしています。
売上の半分以上という450億円の資金が必要だったため、2013年まではお金をかけずに集客数を上げないといけない状態でした。そんな集客数を伸ばしていったアイディアの数々を今回は書いていこうと思います。

スカウトされてUSJへ

USJはもともと大阪市が出資していた第三セクターの企業でした。しかし、運営がうまくいかずに2005年にゴールドマンサックスの出資を受けて債務を圧縮、経営の立て直しを図り始めます。
立て直しの中心になったのが、2004年6月に代表取締役に就任したグレン・ガンペル(Glenn Gumpel)さんでした。

コストカットにより経営危機は乗り越えましたが、集客は年間700万人程度と初年度にあたる2001年の1,100万人と比べると伸び悩んでいました。グレン・ガンペルさんは自分の右腕となるマーケティングのプロを探す中で森岡毅さんにオファー。
森岡毅さんはグレン・ガンペルさんの第一印象を『ゴッドファーザー』に出てくるマフィアの大ボスのようと話していました。

森岡毅さんがマーケティングのプロとして行った試みは大きくマーケットを広げることと全国から集客を見込める施設を作ることでした。

世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップへ

森岡毅さんが最初に行ったことが映画の専門店から世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップへ変えていくことでした。

なぜなら、エンターテイメントを楽しむときに映画を見ている確率が1割程度だったからです。ほかの9割を楽しむ人も顧客層として取り込むべく、アニメから『ONE PIECE(ワンピース)』、ゲームからは『モンハン(モンスターハンター)』といった固定ファンの多いイベント実施を行いました。

『ONE PIECE』は実は以前からクオリティの高いショーをしていましたが、映画の専門店として売り出していたため認知されずにいました。2010年の10周年イベントに向けて大々的にアピール。また、発売自体は2008年ながら長く愛されていた『モンハン』のイベントを2011年にカプコンと共同で実施しました。

森岡毅さんは『ONE PIECE』のイベントのために当時60巻ほど出ていたコミックを大人買いし、子供に開設してもらいながら読破し、DVDもすべて見てアニメーションに関する知識もつけていったそうです。『モンハン』についても400時間以上やりこみ太刀使いとして熱烈なファンになっていきました。

子供連れも楽しめる施設へ

次に森岡毅さんが行ったことが子供連れのファミリー層の集客でした。みなさん、小さいときに遊園地にいって身長制限で乗れない乗り物があったという経験をしていませんか。子供にとってUSJでは特に身長制限で乗れる乗り物が少ないこともさることながら『ジョーズ(JAWS)』に出てくるサメや『ジュラシック・パーク(Jurassic Park)』に出てくる恐竜などリアルに作りこめば作りこむほど小さい子供には恐怖でしかありません。
そこで、エルモ、キティ、スヌーピーといったキャラクターを使った『ユニバーサル・ワンダーランド』のエリアを2012年に開設しました。
2012年には年間の集客も975万人にまで戻ってきました。

後ろ向きに走るジェットコースター

お金をかけずに20億円程度の投資で2013年の集客をあげる必要がありました。20億という金額は新しいアトラクションを導入するには不十分な額だそうです。そこで、世界中のエンターテイメントパークがやっていることでマネできることがないかを探し、オーランドの本家ユニバーサルスタジオですでにハリッボッターに勝つべく開発していたアイディアの模倣をしました。それが、『アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド 4K3D』です。
また、『ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド』のゲストを後ろ向きのセル車両を用意するという最低限の投資で『ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド ~バックドロップ~』という新たなアトラクションを誕生させます。

アイディアで乗り切り『The Wizarding World of Harry Potter』をオープン

こうして様々なアイディアを形にして集客が増えていったからこそ、今の『The Wizarding World of Harry Potter』が完成し、2014年は開園初年度の1100万人を超える1270万人の人が訪れました。2015年10月には初めてディズニーランドの月間集客数を上回り、2016人には森岡毅さんが就任した当時の倍の集客を呼び込める施設に変化していきました。

2022年は『進撃の巨人』をテーマにしたアトラクションなど新しい施設もオープンし、森岡毅さんがUSJをさった後も、再現をもって最高のエンターテイメントを提供しています。

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