もとは福井県の小さなホテルだったところから、全国規模のホテルチェーンにまで大躍進を遂げたアパホテル。同社の代表取締役である元谷芙美子氏についてアウトプットします。
アパホテルと聞くと帽子を被った女性社長をイメージする人は多いと思います。
非常に派手な帽子を被って元谷氏ご自身が広告塔になることで、一気に地名度を高めたことは有名な話です。
しかし、どうでしょう。
いきなり見ず知らずの派手な帽子を被っている女性の看板広告とともに、「私が社長です」というインパクト大のテレビコマーシャルが流れてきたら、、、
好奇の目を向けられるのは必至。
元谷さんは「自ら広告塔として露出した途端に誹謗中傷が止まらなかった」とおっしゃいます。ただ、そんな中でも非常にユニークな方法で事業の拡大に繋げたそうです。果たして、それはどういうものだったのでしょうか?
先に個人的な感想を伝えると、わたしはこの対応は到底できないです(笑)
しかし、元谷芙美子氏からすると、誹謗中傷を受けるというのはある意味で戦略通り。誹謗中傷をプラスに捉えて、事業を拡大させてきた成長戦略を徹底調査していきます。
クレーマーに無料宿泊券をプレゼント!「きっと私を好きになる」
自らが広告塔になり、日経新聞の一面に「私が社長です」という広告を掲載してからは誹謗中傷の嵐だったと、元谷芙美子氏はおっしゃっています。
特に酷かったのが「公共の福祉に反する!」と書かれた手紙をもらったこと。自分の顔を晒して、「公共の福祉に反する!」と言われたら、私なら相当ヘコむと思います(笑)
しかし、元谷芙美子氏は違いました。
私は手元に届いた手紙に全部目を通し、こうお返事をしました。「ご意見ありがとうございます。よろしければぜひ私に会いに来てください。そうしたら、きっと好きになっていただけると思います」って、宿泊券を添えてね。
出典:誹謗中傷も「それが何か?」アパホテル社長に見る“絶対不幸にならない人”のルール
上記の元谷芙美子氏のエピソードを聞いたときは器の大きさの違いに愕然としました。それと同時に、「本質を見ること」と「物事の捉え方」の大事さも教えていただきました。
日経新聞の一面に大きな広告を掲出した理由は認知度を高めるため。
そういう視点で考えると、クレームが来るというのは認知に繋がっているので大成功といえます。逆に大失敗とは、クレームも含めてなんの反応もないこと。
まさに本質を見ているからこそ、メディアの反応に一喜一憂しないということですね。(※個人的には、本質を常に見定めていてもヘコむものはヘコむと思いますが。。。)
そして、「物事の捉え方」も成功者に合わせていく必要があります。
自身が広告塔になって誹謗中傷の声が鳴り止まなかったとしても、「そもそも、最初から受け入れられるとは思っていなかった。」とおっしゃってました。
元谷芙美子氏は「最初はクレームだったとしても、自分と会えば必ず自分を好きになってくれる」と現状をポジティブに解釈したからこそ、【無料宿泊券プレゼント】という斬新な戦略を生み出せたのだと感じました。
疑惑の耐震強度問題?!地に落ちた銀行からの信用を回復させた行動とは?
2007年1月某日。
京都市内に所有する2棟のビジネスホテルが、耐震強度を満たしていないということで当時大きなニュースとなりました。耐震偽装とも報道され、当時は大きなバッシングを浴びていました。
銀行からの信用は低下し「約300億円の借入金を全額返済して欲しい」とまで言われたそうです。
信用面でも金銭面でも、誰がどう見ても絶体絶命の大ピンチ。しかし、この絶体絶命の大ピンチが契機となり、その後の大躍進に繋がっていきます。
約300億円の借入金を返済するために、これからホテルを建設予定の用地を全部売り払った後に大きな経済恐慌がやってきました。あのリーマンショックです。
アメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズが経営破綻し、それを契機に世界的な広がりを見せた大恐慌のことですね。金融危機、株価や土地の価格が暴落したことで有名です。当時は「内定取り消し」などが起こり非常に問題になりました。
アパホテルは、土地の価格が暴落する前に全て売却していたことに併せて、分譲予定のマンションプロジェクトの費用も全て払い終えていたので、マンションの販売によって潤沢な資金が手元に残りました。そして、都心を中心に価格が暴落した土地を大量取得し、大型ホテルの建設ラッシュ。耐震強度問題に対して取るべき誠実な対応をしたからこそ、今のアパホテルの成長に繋がっているといっても過言ではありません。
「運が良かった」といえばそれまで。しかしそれは掴み取るものなんです
ここまで書きましたが「運が良かった」だけと穿った見方をしている人もいるでしょう。
もちろん、運も実力のうちですし、それ以上に経営者としての手腕や捉え方の方が光っているのではないでしょうか。
少なくとも、私自身が今のアパホテルの大躍進と同じ軌跡を辿れるかというと無理ですね。
最初のクレーマーへの対応では、元谷芙美子氏とは全く別の切り口でクレーマーへアプローチしていたと思います。もちろん、ある程度の気分感情が入るでしょう。
創業を志すからには、とにかく時の運を見極め、しっかりつかみ取ることが大切です。「運」という字は「しんにょう」に「軍」と書きますね。つまり創業は戦(いくさ)です。では、何と戦っているかというと、それは皆さんご自身です。人と比べてばかりの人生なんてつまらないものです。創業するからにはあなたの好きなこと、得意なことを生かして、自分らしい事業を楽しんでください。
出典:アパホテル株式会社 取締役社長 元谷 芙美子 さん|先輩創業者
アパホテル大躍進の原動力は間違いなく元谷芙美子氏の力が大きいです。
賛否両論や誹謗中傷はあれど、「本質を見る」ことと「物事の捉え方」を変えることで全てをプラスに持っていくやり方は、私自身も真似したいポイントです。それには、強靭な精神力と大きな人間の器が必要ですね。
経営者にとって賛否両論や誹謗中傷は、発信する側が思っているような効力は発揮しないかもしれませんね。
ちなみに、元谷芙美子氏の旦那で、アパホテル株式会社の会長である元谷外志雄氏も経営戦略に関しても別の記事で取り上げようと思います。創業依頼、一度の赤字も一度のリストラもせずに順調にアパホテルを拡大させてきた元谷外志雄氏が経営において大事にしてきたことからも学んでいきたいと思います。