山田進太郎さんがつくりたかったグローバルなサービス(後編)

前回はウノウ時代までについて書いてきました。
今回はその後、なぜメルカリを創業したのかについて書いていきます。

世界一周で知った世界の現状

山田進太郎さんが2012年に世界一周をして知ったことは、、日本という豊かな国に生まれたことがどれだけ恵まれているかということ。

特にポーランドのアウシュビッツ強制収容所やインドのバラナシをあげています。

アウシュビッツ強制収容所は第二次世界大戦時のナチス・ドイツの人種差別による絶滅政策(ホロコースト)の象徴となっています。ここではユダヤ人が大量虐殺や人体実験に使われるなどしていました。

アウシュヴィッツ生き延びた101歳の苛烈な手記~残虐非道な強制収容所で心の支えとなった友情~/東洋経済ONLINE

また、インドのバラナシはガンジス川も流れるヒンドゥー教徒にとっての聖地で、数々の寺院が存在する最も古い都市です。ヒンドゥー教徒にとって、ガンジス川の水はもっとも清らかで、あらゆる罪が流されるとされています。そのため、ガンジス川に体をつけ、朝日に手を合わせて祈ったり、沐浴なども行われています。

しかし、実際には衛生面は悪く大腸菌も基準値の20倍以上、工場から流れ込んだ有毒な化学物質も検出されているそうです。
そのため、衛生環境も悪く、暑さも相まってにおいもひどく、物乞いも多かったそうです。

こういった現状をみたときに、「世界にはどれだけ能力とやる気があっても外国に行くことも叶わない人がたくさんいる」と肌で感じました。

こんなに恵まれているのに何もしないのか―メルカリCEOの原体験/Yahoo!ニュース

また、同時に資源が限られた中で全員が先進国のような豊かな暮らしができるかというと、難しいとも感じました。

スマホの普及に合わせた開発

山田進太郎さんが世界一周から帰国して、驚いたのがスマホの普及でした。2012年といのは世帯のスマホの保有率が伸びた年で2010年には9.7%だったものが、2012年には49.5%となりました。2020年現在では86.8%とほとんどの人がスマホを持っていると言っても過言ではない状況になっています。
2007年にiPhoneが販売されていますが、実は2009年までは国としては保有率のデータをとってもいませんでした。

世帯の情報通信機器の保有状況/総務省

LINEなどもこのころから普及していたため、山田進太郎さんは日本に戻ってきたらLINEが一気に広がっていてびっくりしたと話しています。

日本での普及を見て、いずれ世界の人々もスマホを持つ時代が来ると思い、スマホでの開発をはじめました。

2012年といえば山田進太郎さんと親交の深い鈴木健さんがアプリに特化してスマートニュースのサービスを開始したことも、影響が大きいように感じます。

循環する社会を目指して

ヤフオク!のネットオークションビジネスがはやっていたことや、他にもいくつかのC2C(Consumer to Consumer)と呼ばれる消費者同士の取引を行うサービスが出ていたため市場は確実にあると思いC2Cのサービスを提供しようと思ったそうです。

C2Cのサービスを考えたキッカケに、世界一周旅行があるようです。
世界一周旅行の際に、資源が限りあることに気付き、今の使っては捨てるということを続けていては、新興国の人が先進国と同じような生活を送ることは困難です。

例えば、子供服のように、服としては着ることができるけど、子供が成長することによって自分の家庭では使わなくなります。でも、新しく子供が生まれた家庭では必要だったり。

メルカリの誕生

こうして生まれたサービスが『メルカリ』です。
2013年2月にコウゾウを設立し、7月に『メルカリ』のリリースという勢いで進められました。

ちなみに『メルカリ』という名前はラテン語でマーケット(市場)を意味するmercariが由来で、メンバー全員で投票して決めたそうです。

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