鈴木健氏がスマートニュースで提供する多角的な視点での良質な情報

日米合算で2,000万人の月間アクティブユーザー数を保有するスマートニュース。
アプリのダウンロードだけでいうと5,000万ダウンロードされていて、使用したことがある人も多いのではないでしょうか。

今回はスマートニュースを提供するスマートニュース株式会社(SmartNews, Inc.)の共同創業者であり現在の代表取締役社長でもある鈴木健氏がスマートニュースで解決しようとしている問題について取り上げてみました。

ニュースキュレーションサービス『スマートニュース』

インターネット上で話題になったニュースを配信するキュレーションサービスで、電波がなくて読めることが売りのニュースアプリです。

2010年の夏ごろから着想をし、2011年に『Crowsnest』というニュースキュレーションサービスを経て、2012年12月にアプリ公開されたのが『スマートニュース』。

プロダクト製作に2年半もかけリリースし、お金をかけたプロモーション活動を行っていないにもかかわらず初月で数十万人に利用されるというスタートを切りました。
2014年にスマートニュースのアメリカ版も発表。

『Crowsnest』を含めた立ち上げ時期の話はこちらを参考にしてください。

2012年6月に設立した当時は株式会社ゴクロという名称で、2013年10月から現在のスマートニュース株式会社に変更。

2019年8月の資金調達で評価額が1200億円となりにはユニコーン企業入りを果たします。

ユニコーン企業とは”評価額が10億ドル(約1040億円)を超える未上場のスタートアップ企業”と定義されていて、『TikTok』を運営する中国のBytedance社やイーロン・マスク氏が創業したSpaceX社などもユニコーン企業にあたります。

代表取締役社長の鈴木健氏は、共同創業者であり現在の最高執行責任者兼チーフエンジニアでもある浜本階生氏とともに、日本の起業家ランキング2020に選出もされています。

そんな鈴木健氏が現在解決しようとしているのがニュースの信頼性の問題です。

ニュースの信頼性

2016年のアメリカ大統領選挙で問題となったのがフェイクニュース。
フェイクニュースとはその名の通り、利益を得るために虚偽の情報で作られたニュースのことで、誇張表現、誤情報やデマもその中に含まれる。

世界でTwitterは3億人、FacebookやYouTubeでは20億人もの人々が毎月利用をしていて、SNSの影響力も大きくなっています。
デマや噂話といったものは昔から存在はしているが、近年ではSNSの普及に伴い、フェイクニュースも増えてきているようです。

個人が簡単に情報を発信できることがSNSのよさではありますが、リツイートなどにより、事実かどうかによらず、本当は少数の意見なのにあたかも大多数の意見かのように見えてしまうこともあります。

例えば、2016年のアメリカ大統領選挙ではマケドニア共和国の10代の若者が100以上のフェイクニュースサイトを立ち上げFacebookなどを使って広告収入を得ていた。こういったフェイクニュースにより選挙結果を左右したという意見もあります。

また、今年に入ってからは、コロナワクチンに関する情報が飛び交っていますよね。反ワクチンの投稿されたコンテンツを分析したところ、Facebook上で68万9,000回ちかく投稿されたコンテンツの7割程度が12人の個人とその関連組織によって投稿されたものというNPO「デジタルヘイト対策センター(CCDH)」の調査結果もあります。

それとは別にフィルターバブルという課題も起こっているようです。

フィルターバブル (filter bubble) は、利用履歴に基づいたオススメなどが普及することで、自分が見たい情報しか見えなくなっていることをさします。自分が見たい情報のみに触れ続けることにより視野が狭くなり、外部状況の変化に対応しなくなります。
人はもともと自分にとって都合のいい情報や自分に近い意見を信じる傾向があることも原因の一つかもしれません。

フェイクニュースにテクノロジーで立ち向かう「ファクトチェック・イニシアティブ」とは?/ AERA dot. (アエラドット)

偏りない情報を『News From All Sides』で

鈴木健氏が社会の分断によるフィルターバブルを感じたのがまさに大統領選挙でした。

2016年の選挙ではリベラル層(民主党)支持者はヒラリー・クリントン氏が勝って当然と思っていましたが、ふたを開ければ保守層(共和党)のドナルド・トランプ氏が当選。これは自分達が知りたい情報だけをとっていたために、自分とは異なる意見の灯との声が届かない状態になっていたからです。

『News From All Sides』は保守層とリベラル層の両側から編集されたニュースをスライダー操作することで見られるようにする機能として2019年に追加されました。

両方の意見を見られることにより、選挙に関してテーマが複数あった時に、すべて保守層の意見、リベラル層の意見に偏っているわけではなく、このテーマに関して、自分はリベラル寄りだなどの視点を持てるようになることがこの機能の最大のメリットとして提供しているようです。

便利な世の中だからこそ色んな側面から見る必要性

スマートニュースの取り組みを知って、現在の情報がありふれている世の中だからこそ、多数派意見が事実とも限らないことを知り、情報の取捨選択が大事だなと思いました。
また、色んな側面から多角的にものごとを見られるようになる必要があるなと感じました。

社会の分断に取り組むスマートニュースが、今後どのように進化していくのかとても楽しみです。

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