長谷川潤氏が、日本5社目のユニコーン『Opn』を生み出した価値観とは!?

出典:スタートアップ企業のCEOが持つ生き残る力 | Opn株式会社

『スタートアップ』や『ユニコーン』という言葉が日本でも少しずつ広まりつつあります。政府がスタートアップを支援する政策を打ち出すなど、国として日本におけるスタートアップのマーケットを大きくしようとする取り組みが行われていますが、海外のマーケットに比べると日本のマーケットの規模はまだまだ小さいと言われています。

こうした中、日本やタイなどアジアに複数の拠点を持ったフィンテック企業、Opn(オープン)株式会社が、2022年5月、1億2,000万ドル(約160億円)を調達し、『日本5社目のユニコーン』と報じられました。

そして、Opn株式会社(以下、Opn)の共同創業者兼CEOを務めるのが、長谷川潤氏です。
今回は、Opnを創業からユニコーンまで成長させた長谷川氏の価値観について紹介します。

複数回の起業を経てOpnを立ち上げ〜長谷川潤氏の経歴

長谷川氏は、1981年生まれで、東京都の出身です。
高校卒業後、単身渡米しエンジニアとしてWebサービス開発を経験し、帰国後にライフログアプリ「LIFEMee」で2009年TechCrunch50のファイナリストに選出されました。

その後、複数の起業を経て、2013年タイでECサービスを開発する『Opn(旧Omise)』を設立します。そして、Forbes JAPAN誌の「日本の起業家ランキング2020」では4位に選ばれた経験もあります。

この肩書きだけ見ると、活躍ばかりが目立ちますが、実際には苦労も重ねています。
自身が立ち上げた「LIFEMee」も結果的には撤退することに、その後、複数の事業の立ち上げ、そして撤退を経験しています。

2010年頃の日本は、今よりもスタートアップを支援する枠組みはなく、苦戦するのがある種、当たり前の環境でした。
そうした環境の中でも事業の立ち上げに挑戦し続けていたところに長谷川氏の行動力や意志の強さを感じます。

そうしたなか、2012年末、長谷川氏は、友人でもあり後に共同創業者、そして現在社長を務める Ezra Don Harinsut(エズラ・ドン・ハリンスット)氏からの誘いで、タイで起業をすることになります。
このことが当時の『Omise(オミセ)』、現在の『Opn』の立ち上げに繋がります。

そして、現在では、決済サービスである『Opn』の他、NFCに対応するサービス『Opn Tag』や『Opn Mint』 というNFT事業も手がけています。

「まず事業を大きくしてから、日本にも進出」という戦略

『Opn』の経営者として活躍してきた長谷川氏ですが、長谷川氏が大切にしている価値観はどのようなものでしょうか。

1つ目は、『ボーダレス』『グローバル』についての考え方です。
多くの日本企業では、「まず日本で事業を大きくし、事業が成長してから海外へ進出」というアプローチを取ることが多くみられます。

しかし、長谷川氏の場合は、スタートアップ支援の文化が未成熟の日本ではなく、スタートアップが成長する環境があるタイで企業し、日本へは、結果的にOpnを逆輸入するような形でグローバル展開を進めています。

共同創業者のハンスリット氏がタイがきっかけだったことも影響しているとは考えられますが、「スタートアップの起業や拡大をさせやすい国でをまず事業を成長させる」という選択を取れたことが、Opnをここまで大きくできた理由のひとつです。
日本に固執しない、余計なこだわりを持たず、必要な選択をできたことがキーになっています。

『グローバル』のための『徹底的なローカライゼーション』

2つ目は、『ローカライゼーション』についての考え方です。

長谷川氏は、Opnの4つの強みとして、『導入のしやすさ』『シンプルなプライシング』『徹底的なローカライゼーション』『ボーダーレス』を挙げています。
それもOpnそして長谷川氏の考え方を強く表していますが、特に特徴的なのが『徹底的なローカライゼーション』です。

「その地域の習慣や既存の決済手段に合わせてサービスを用意する」というもので、例えばタイにおいては、欧米で多くみられるクレジットカード決済だけでなく、タイ独自のインターネットバンキングや独自のQRシステムにも対応させてきました。

多くのグローバル企業では、その規模から「グローバルなスタンダードに合わせさせる」という選択もみられますが、Opnではその逆で、各地域ごとに異なるユーザーの利便性を重視しています。
冒頭に触れた『Opn Tag』は、タッチ決済が浸透している日本市場向けのサービスです。

現在、約50種類の決済手段に対応していますが、この「地域を問わない利便性の高さ」が結果としてOpnの高評価に繋がり、大規模な資金調達にも繋がっています。
目の前のユーザーの利便性にこだわったことが、サービス全体としての大きな結果にも繋がっています。

企業理念という目的を達成するために

今回は、Opn株式会社の成長とその背景にある長谷川潤氏の価値観について紹介しました。

長谷川氏の経歴や価値観からは、グローバル・ボーダレス、かつシームレスというOpnの理念の達成のために、「余計なこだわりを持たないこと」、そして「目の前のユーザーのニーズに答えること」の大切さが学び取れます。

今後のOpnの成長、そして長谷川氏の経営者としての活躍から目が離せません。

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