投資先を見抜く穐田誉輝(あきた よしてる)さんの学び方

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以前、価格.comを運営する株式会社カカクコムを創業した槙野光昭(まきの みつあき)について書きました。

今回はベンチャーキャピタルをしているときの投資先として株式会社カカクコムを選び、2代目の社長に就任、その後、クックパッドの社長を経てくふうカンパニーを創業した穐田誉輝(あきた よしてる/Yoshiteru Akita)さんについて書いていこうと思います。

会社はビジネススクール

1969年に千葉県で生まれ、青山大学の経済学部を卒業後、1993年に日本最大のベンチャーキャピタルである日本合同ファイナンス株式会社(現ジャフコグループ株式会社)に入社します。日穐田誉輝さんはベンチャーキャピタリストとして、投資育成業務、市場調査業務を行っていました。
入社後は同期の中で最初に投資案件を成立させましたが、トラブルになり投資後最短で倒産するという波乱万丈なスタートを切ります。
ジャフコでは投資にかかわる中で、成功企業や失敗企業の事例、経理財務スキル、証券市場の仕組みなども学びました。穐田誉輝さんがまた学生に戻るならもう一度ジャフコに入社するというほどいろいろなことが学べたようです。
1996年に中古車販売会社の株式会社ジャック(現株式会社カーチスホールディングス)に転職します。株式会社ジャックは1999年に東証2部に上場しました。穐田誉輝さんは実際に事業経験を積み、上場まで経験するというキャリアを積みました。
学ぶ代わりに給与以上の成果を出すということは常に意識していたそうです。

働く株主になるためにアイシーピーを創業

ジャフコにいたときから、株主として一緒に働いて10の価値だったものを100にして増えた分を分配するというwin-winの関係を気付くことを意識してきたようです。資金提供以外でどんな付加価値をつけられるのかと考えたときに、ジャフコのような多額の資金を運用可能で様々なところに投資できる会社よりも、個々の投資先に深くかかわっていきたかったそうです。そこで、1999年にジャフコで働いていた時に、4つ先輩だった石部将生(いしべ まさき)さんとともに株式会社アイシーピーを設立します。投資や助言をした先には市場価値を大きく上げている企業が多くあります。

株式会社カカクコム

穐田誉輝さんが株式会社アイシーピーでベンチャーキャピタルをしているときの投資先で、その縁で2000年にカカクコムの非常勤取締役となりました。2001年にカカクコムは外資系の企業から買収の提案があり話が進んでいたが、同時期にアメリカで起こったNY同時多発テロの影響で相手企業とのやりとりに支障が生じたそうです。穐田誉輝さんはアイシーピーとしてカカクコムに対する買収を提案し、当時のカカクコムのオーナーは、株主となることと経営を引き継ぐことを条件に提案を受け入れたので、穐田誉輝さんがカカクコムの代表取締役に就任し、2003年に東京証券取引所マザーズに株式を上場するまでに成長させいます。2005年には『食べログ』のサービスを開始します。

クックパッド株式会社

2007年7月にクックパッド株式会社の社外取締役に就任。2009年に東京証券取引所マザーズに株式を上場を果たすと、2012年には代表執行役に就任します。創業者である前任の佐野陽光さんは「Betterや、Goodはやらない、Bestしかやらない」と言ってました。それに対して、穐田誉輝さんは「違法なものはやらない」「人を不快にさせることはやらない」の2つだけで、レシピサイトだけでは食べられなくなることに備え、M&Aを進めていきます。アメリカ、スペイン、インドネシア、レバノンなどの海外レシピサイト、スーパーの特売情報の提供や食事の定期宅配などのEC関連を買収します。レシピサイト以外にも電子書籍のイーブック、子育て支援の日本テクノ、結婚式口コミサイトなどレシピサイトとも関係ない投資を加速させたことで、佐野陽光さんと方針の違いで2016年に解任になります。代表執行役を務めている間に時価総額を7倍まで成長させます。

株式会社リブセンス

最年少上場をした村上太一さんが代表取締役を務めるのが株式会社リブセンスです。

村上太一さんは穐田誉輝さんと共に起業家応援プログラム『STARTUP50』を2013年に発足しています。こちらは具体的に資金を投資したかは情報が得られませんでしたが、村上太一さん自身『ジョブセンス(現マッハバイト)』で苦戦していた2009年に、穐田誉輝さんから50分間のアドバイスを受けたことが大きな転機となったので、このプログロムを発足したと話しています。

リブセンスとクックパッドが起業家応援プログラム「STARTUP50」を発足/LIVESENSE ニュースリリース

現在はくふうカンパニー

穐田誉輝さんはその後、株式会社くふうカンパニーと株式会社トクバイの2社を立ち上げています。

株式会社トクバイは2016年にクックパッドから新設分割をして設立します。チラシ・買い物情報サービスである『トクバイ』のサービスを提供する会社です。こちらは、2019年に株式会社ロコガイドに名称を変更し、2021年にはくふうカンパニーの完全子会社になっています。

株式会社くふうカンパニーは2018年に住宅購入や賃貸などを手掛ける株式会社オウチーノと結婚式場の口コミサイト『みんなのウェディング』を運営する株式会社みんなのウェディングの共同株式移転によって設立さしました

その間の2017年にはタレントの菊川怜さんと結婚をし、公私ともに順調のようです。

現在大株主となっている投資先(2022年10月現在)

①株式会社くふうカンパニー 38,708,000株(66.41%)
みんなのウェディング、オウチーノなどのサービスを含むグループ全体の経営戦略や起業家支援

②株式会社カラダノート 65,200株(1.05%)
妊娠育児ママ層向けのアプリ提供・家族向けサービスを展開する企業へのプロモーション支援事業

③株式会社Kids smile Holdings 136,100株(4.2%)
東京・神奈川といった首都圏を中心に、認可保育所などを運営

④株式会社LITALICO 3,408,000株(9.57%)
インターネットメディア事業・プラットフォーム事業・学習塾及び幼児教室の運営

⑤株式会社マツモト 19,000株(5.03%)
幼稚園から大学までのスクールアルバム実績のある卒業アルバムメーカー

⑥株式会社ホテル、ニューグランド 57,600株(4.88%)
神奈川県横浜市にあるホテル

様々な立場を経験したからわかる先見性

実際に投資する側になると同時に、自分でも社員として上場を経験するという珍しい経験をつんでいます。今なお新しい企業に投資やエンジェル投資家としても経験し、実際に資金だけでなく経営にも携わるなかでより先見性をつけていると感じました。現在の大株主になっている投資先を見ると、生活や育児にかかわるものに力を入れているように感じます。ここでもきっと新しい学びを得て、市場価値をあげていきそうですね。

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