東京五輪に向け、大会での活躍が期待される選手の話題が増えるとともに、インタビュアーや解説者等の立場で過去の大会で活躍した選手をメディアで見かけることも増えています。
競泳において2大会連続2種目で金メダルを獲得した北島康介氏もその1人です。しかし、北島氏の場合、解説者としてだけではなく、現在、株式会社IMPRINTを立ち上げるなど経営者としても活躍しています。
元選手として水泳だけでなく経営の分野でも活躍する理由は何なのか。今回は、そんな北島康介氏の現在の活動やその背景について紹介します。
選手としてのコカコーラとのプロ契約、そして経営者へ
北島氏といえば、2004年のアテネ五輪と2008年の北京五輪の2大会連続で、100mと200m平泳ぎの2種目で金メダルを獲得し、国内だけでなく世界的にも有名です。それぞれの年の新語・流行語にもなった「チョー気持ちいい」、「何も言えねえ」と合わせて記憶に残っている方も多いと思います。
実は、北島氏は、2つの五輪の間となる2005年からコカ・コーラ社とのプロ契約をしています。当時、日本における水泳選手のプロ契約は珍しく、プロ契約が多くなってきた現在からすると、時代の先駆けだったといえます。
そして、2009年には株式会社を立ち上げ、自分自身を経営者としてマネジメントすることになります。現役のスポーツ選手が自身のための会社を立ち上げるたこともプロ契約と同様、とても珍しいことでした。
北島康介氏の価値観、経営への思いとは
北島氏がプロ選手を意識したのは、2000年のシドニー五輪に出場した時だったといいます。
プロ選手として活躍する他の競技の選手を見たことで、「プロとして活動したい」「稼いでいきたい」という気持ちが出てきたといいます。
結果がより求められることは承知の上で、「より自分が稼ぎ、水泳を楽しんでいくためには」と考え、プロ契約を選択したところには、北島氏の将来を見据える価値観が表れています。
また、現在では、水泳に取り組む人がより長く、そして水泳選手がより稼いでいけるように、水泳業界のマーケットをより大きくし、水泳をより楽しめるものにしたいという思いで、さまざまな事業を手がけています。
そして、その背景には、プロ選手がマネタイズできる環境を作ることが、業界としての裾野を広げ、水泳に取り組む人の環境を良くすることに繋がるという考えがあります。
そのため、北島氏は、アメリカンフットボールや野球、サッカーに比べて放映権などの規模が小さいと言われる水泳業界を、業界として経済的に盛り上げることを視野に、さまざまな活動に取り組んでいます。
北島氏の手がける会社・活動
北島康介氏の手がける会社として、代表的なのは先述した株式会社インスプリントです。
同社の事業では、現在、リオ五輪の金メダリスト萩野選手などの水泳選手のマネジメントのほか、KITAJIMAQUATICSなどのスイミングスクールの運営、リハビリやスポーツにかかる用具の販売事業等を行っています。
また、北島氏は、昨年、国際水泳リーグ(ISL)の日本チームのGMとなりました。
ISLは、賞金制・チーム制で争うなど、これまでの水泳大会とは違った商業的な成功を目指すイベントで、北島氏がGMを務めるチームは、初のアジアを基盤とするチームです。
国際的にも起こっている水泳業界を盛り上げる動きに対して、積極的に協力する姿勢に、北島氏の思いが感じられます。
今回は、北島康介氏の経歴や手掛けている事業について、簡単に触れました。
水泳業界を活性化していく活動に、先駆けて取り組んでいく北島康介氏に今後も注目していきたいと思います。