小学館が運営するマネー情報サイトである『マネーポストWEB』
その『マネーポストWEB』の中で、2021年12月30日に発表された記事がボクの目に飛び込んできました。
以前に何度か記事化させていただいたバルミューダ株式会社の寺尾玄氏が、長者番付にランクインしたという記事です。
バルミューダ株式会社は2003年に創業。
2008年のリーマンショックで倒産の危機に晒されたものの、二重構造の羽根で自然界の風を再現する扇風機『GreenFan』を大ヒットさせてから、スタイリッシュで高機能な家電を数々生み出してはヒットさせている家電メーカーの代表取締役社長ですね。
寺尾玄氏が率いるバルミューダ株式会社が2020年12月16日に東京証券取引所マザーズ市場に上場してから約1年後の出来事です。ちなみに、寺尾玄氏は同社の株式の約70%を保持する大株主です。保有している5,800,000もの株式を時価総額に換算したものも含めて349億円の資産が計上されて、今回初のランクインです。
そして、今回の記事はそんな寺尾玄氏が率いるバルミューダ株式会社の決算書を元にアウトプットしていきます。
ビジネスパーソンとして決算書は読めた方がいいなとずっと思っていたので、今回は個人的にも基礎知識を付けていければと考えています。
バルミューダ株式会社2021年12月期 第3四半期 決算説明会
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS08246/24751e0f/9981/4d52/b9cf/e58e10a47664/140120211109428233.pdf
現時点での最新が上記の決算書です。
2021年1月〜9月までの売上実績は、2020年1月〜9月のそれよりも約37%増の110億円に対して、営業利益や営業利益率は前年比で大幅に下がっています。
「世界的な部品需給逼迫及び海上輸送費高騰により、製品原価率は上昇」
家電メーカーなので巣ごもり需要で売上を上げてきた一方で、製造部品の供給不足や海上輸送費の高騰によって製品原価率が上昇した結果、営業利益や営業利益率が大幅に下がっているということですね。
ちなみに、巣ごもり需要で恩恵を受けた企業はバルミューダ株式会社を含む家電メーカーの他にも、衛生用品メーカー、IT会社、ゲーム開発会社、総合小売業、物流会社などがあります。業績が上方修正されている企業が多いですね。
営業利益や営業利益率が下がっている要因の一つは、2021年1月〜9月の販管費の増加ですね。宣伝広告費は前年対比で77.5%増の4.5億円、試験研究費は前年対比で269.2%増の8億円にものぼります。
(※試験研究費のうち携帯端末事業関連で5.6億円)
実際に、最近話題の『BALMUDA Phone』を2021年11月16日に発表したり、バルミューダ製品を体験できる同社初の旗艦店である『BALMUDA The Store Aoyama』を11月19日にオープンしており、この投資が一時的に販管費を押し上げたということです。
「100億円プレーヤーはもう飽きた」と変化し続けることを宣言しているバルミューダらしい大勝負ですね。
実際に『BALMUDA The Store Aoyama』は製品の先にある顧客体験ができる場所で、以前の記事でも寺尾玄氏が顧客体験にこだわっていることを書いてきました。
1階ではバルミューダ製品を展示販売し、2階では体験を提供するラウンジになっています。
2階のラウンジは平日でも満席で、休日に至っては行列が生まれるほど人気スポットになっているそうです。
それもそのはず。
2階のラウンジでは、『BALMUDA The Toaster』で焼いたトーストやクロワッサン、コーヒーメーカーの『BALMUDA The Brew』で入れたコーヒーを無料で提供しています。
顧客体験を大事にするバルミューダだからこその取り組みですね。
決算書から見る今後の成長戦略について
市場に新製品を発表するたびに売上を上げてきているバルミューダ株式会社。
今後の成長戦略は非常にシンプルで、研究開発や人材への資本投下によって新製品を市場に発表し続けて売上を上げていくと決算書には記載がありました。
また、原価コントロール、自社コミュニケーション力を活かした広告宣伝費のコントロールにより営業利益率10%以上を確保を行っていくようです。
単純な掛け算になりますが、売上高は下記の計算式で算出されますね。
売上高=客単価×客数
バルミューダ株式会社が考える客単価は、「テクノロジー+アート+ブランド」によって向上させていけるとのことです。また、客数は「エリア×ターゲット人数×商品ジャンル」によって増やしていけると。
では、その中でも特に注力すべきポイントはどこなのでしょうか。
ズバリ「商品ジャンル」だそうです。
客数を上げていくためのエリアに関しては、現在すでに開拓されている日本と韓国を中心に、未開拓の北米を重要地域として経営資源を投下していくようですね。
ターゲット人数に関しては、各地域でのハイブロー層に対しての商品づくりやブランディングを行い、商品ジャンルに関しては2025年までに小型生活家電以外へのジャンルに積極的に商品投下を行っていくと宣言しています。
ハイブロー層とは、教養や学識をもっている人のことを指し、中間層〜高所得層に多いと言われています。
数字でみると2021年1月〜9月は勝負に出たということが分かります。
「商品ジャンル」を広げて売上拡大をしていくバルミューダに今後も注目していきます。