今回は、齋藤優一郎さんが『バケモノの子』製作時に、より長期的に作品が作れるように設立して。スタジオ地図LLPについてい書いていこうと思います。
中長期的なプロデュースを見越した商品化事業
2014年末に映画作品より派生する事業プロデュース機能として、日本テレビ・KADOAKWAとスタジオ地図有限責任事業組合(スタジオ地図LLP)を設立しました。
LLPは「Limited Liability Partnership(リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ)」の略です。
作品の知的財産(IP/Intellectual Property)を管理活用する組織をつくりました。
映画に出てくるキャラクターのグッズの販売などもスタジオ地図LLPを通して各社が行います。
中長期的に考えたときに、グッズが売れるということは売上や利益につながるだけでなく、認知度を高めるためにも有効です。
その代表といえるのがスタジオジブリの『となりのトトロ』。
トトロのぬいぐるみが販売されたのは、『となりのトトロ』が公開された1988年の2年でした。
ぬいぐるみが大ヒットし、認知度が高まったことで作品のパッケージ(当時はVHS(ビデオ))の売上も高まっていました。さらにはスタジオジブリの認知度にも一役買っています。
『バケモノの子』では商品化事業を思い切ってすすめました。
『時をかける少女』の時が約30アイテムなのに対して、『バケモノの子』では約70アイテムと、今までの作品の時の倍近くを展開。
さらには、過去のアイテムも含めて細田守さんが監督を務める作品のグッズを購入できるスタジオ地図SHOPをオープン。
網羅的な商品化事業以外の事業展開
齋藤優一郎さんは商品化による認知度の向上だけでなく、網羅的に展開しています。
ひとつは海外での展開。
フランスの大手映画制作会社でもあるGaumont(ゴーモン)と提携してフランスへの配給をおこないます。これにより『バケモノの子』は36ヶ国の国と地域で配信が決定しました。これは『バケモノの子』の前作の『おおかみこどもの雨と雪』の倍近くだそうです。
また、認知度を高めるために、渋谷ヒカリエにて展示会を開催し、日テレと協業していることをうまく活用して、映画公開前に過去の3作品を金曜ロードショーにて3週連続放送し、ネット動画配信サービスHuluを活用して配信も行いました。
KADOKAWAと協業している強みを活かして、書籍化やコミカライズも行っています。
サントリーに企画を持ち込み、『GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶』のCMにもなりました。
こういった取り組みは現在公開されている『竜とそばかすの姫』でも、明治安田生命や教育事業のZ会とのタイアップが行われています。
やれることを全てやりつくすから長期的に繁栄する
今年でスタジオ地図設立10周年。
調べてみてわかったことは、やれることを全部やっているからこそ、10年ものあいだ継続して作品を世に出し続けれらていと感じました。
3年ごとに映画を公開している今までの周期で言うと次の映画は2024年になりそうですが、とても楽しみです。