森川智之さんの声優歴と30年以上活躍する転機となった仕事

声優をしている社長第一弾ということで、森川智之(もりかわとしゆき)さんです。

森川智之さんは株式会社アクセルワンの代表取締役を務める一方で、最近では声優として『鬼滅の刃』のお館様・産屋敷耀哉(うぶやしき かがや)役や『名探偵コナン』の羽田秀吉 (はねだしゅうきち)役を演じ、洋画ではトム・クルーズの専属吹き替え担当をしています。

BL(ボーイズラブ)作品にも数多く出演していることから“BL界の帝王”の異名をもち、BL好きの乃木坂46生駒里奈さんから日本中の女の子がお世話になっているといわれるほど。 そんな、森川智之さんの声優になったきっかけやデビューについて書いていきます。

アメフトを断念し声優へ

1967年に東京で生まれ、神奈川県川崎市と横浜市で育ちます。中学はテニス部に所属しながら、小遣いでトレーニングジムに通い、高校から男子校でアメリカンフットボール部に。

大学はスポーツ推薦を考えていましたが、合宿中に首の骨を折り、頚椎損傷の大怪我。この怪我がもとで、アメリカンフットボールを断念するも、スポーツにかかわりたいという思いからアナウンサーを目指します。

入学案内のパンフレットを見たときに、アナウンサーコースより隣に紹介されていた声優コースの方が楽しそうだったこともあり、声優を志します。

勝田声優教室での日々

森川智之さんはバイトをしてバイト代で通えるという理由で、『鉄腕アトム』のお茶の水博士役で知られている勝田久さんが主催している勝田声優教室に通うことに。

まずは、夏休みに「夏の声優教室」に通ってみて、体育会系で鍛えた声量だけは褒められ、声優の仕事に楽しさを感じました。ちなみに、女性もたくさんいたことも男子校出身の森川智之さん的には楽しかった理由のようです。1986年に入学テストを無事に合格し、勝田声優教室に。 勝田声優教室では5期生として3年間在籍し、同期には

・三石琴乃さん:
『美少女戦士セーラームーン』シリーズで主人公の月野うさぎ(セーラームーン)役、『新世紀エヴァンゲリオン』の葛城ミサト役

・横山智佐さん:
『HUNTER×HUNTER』のビスケ役

・高木渉さん:
『名探偵コナン』の小島元太、高木渉役や『機動新世紀ガンダムX』のガロード・ラン役

がいるようです。

声が大きいことから、自分が授業を受ける身でありながら、他のクラスの発声練習もみていました。

勝田声優教室では、基本2年で卒業のところ、もう少し勉強したい人が3年目に残ることができたそうです。『ドラゴンボール』の孫悟空役としも圧倒的認知度を誇る野沢雅子さんが講師を務めるということで、森川智之さんは3年目も残ることを決め手に。

アーツビジョンに所属し、『ダッシュ!四駆郎』で声優デビュー

初仕事は外国人向けの日本語教材のナレーションの仕事だったそうです。

勝田久さんを師匠にして助手として”カバン持ち”のような形で全国話し方教室の教師をつとめていたそうです。基本は勝田久さんが朗読の仕方を教え、最後に森川智之さんが歌舞伎の演目でもある『外郎(ういろう)売り』を披露するというものでした。

『外郎売り』は声優だけでなく、アナウンサーの活舌トレーニングにも利用されるようです。今でも、森川智之さんは一日の始まりに『外郎売り』をやってコンディションを整えているそうです。

アーツビジョンという事務所に所属し、役に名前がつかないようなモブ役で多数出演し、1989年に『ダッシュ!四駆郎』で声優デビュー。

その後、誰もが知っている作品にも数多く出ています。

『スラムダンク』水戸洋平
『幽☆遊☆白書』死々若丸
『金田一少年の事件簿』明智健悟
『ONEPIECE』はっちゃん、エネル
『犬夜叉』奈落
『キングダム』李牧
『クレヨンしんちゃん』野原ひろし(2代目)
『名探偵コナン』羽田秀吉
『鬼滅の刃』産屋敷耀哉

人生の転換点となった『Eyes Wide Shut(アイズ ワイド シャット)』

1999年『Eyes Wide Shut』の吹き替えをきっかけに、トム・クルーズの専属吹き替え担当を担うことになっています。

1989年に声優としてデビューして、10年がたったころ、森川智之さんは自分の演技のクオリティがもっと上がる気がしながらも、壁にぶつかっていたそうです。

『Eyes Wide Shut』はスタンリー・キューブリックが監督を務め、トム・クルーズ自ら作品に出たいと監督に嘆願したそうです。そんな『Eyes Wide Shut』完成直後にスタンリー・キューブリックが心臓発作でなくなってしまったことを受けて、キューブリック作品をBOX化して全世界で配信しようという動きがありました。

1年をかけてオーディションが行われ、最後に受けたのが森川智之さんでした。演じるにあたって『Eyes Wide Shut』の助監督であるレオン・ヴィタリが森川智之さんに求めたことがありました。それは、トム・クルーズがどのように役を理解して、どのように演じて、何を思ってしゃべっているのかを、ゼロから理解して演じてほしいという内容。

吹き替えの仕事は2時間程度の映画であれば長くても1日で終わる仕事です。ところが、『Eyes Wide Shut』の吹き替えでは1週間かけて行われました。

収録はスタジオにある3本程度立っているマイクを3~4人で使って収録していくのが一般的ですが、『Eyes Wide Shut』では1人ずつ収録を行い、しかもベッドシーンならベッドでトム・クルーズを同じ姿勢になり収録をするという動きも交えたものでした。

『Eyes Wide Shut』はトム・クルーズとスタンリー・キューブリックが徹底的に追及してリアルな演技に落とし込んでいきました。レオン・ヴィタリはそのクオリティを森川智之さんに要求しました。

そのため、当時の力ではまったく太刀打ちできずに、今までのキャリアも捨て去って、レオン・ヴィタリに演技のすべてを委ねたそうです。

結果、森川智之さんは自分が一つ上のステージに行けたと感じられたそうです。

成長した実感もあって、『Eyes Wide Shut』以降、人の嫌がる役や大変な役を率先してやりたくなりました。また、一段深い理解でその後の役も演じることができるようになり、声優のオーディションもよく受かるようになりました。

高いステージでチャレンジする価値

森川智之さんにも、自分の実力以上の現場で鍛えられる経験があったからこそ、デビューから30年以上たたった今も現役で声優を続けていると感じました。 今後も成長するために、自分の実力以上の環境で磨かれていくことが大事だなと思いました。

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