【星野佳路氏】星野リゾートの「教科書通り」の経営と価値観とは!?②

先日の記事で、星野リゾートの代表、星野佳路氏の経歴や社長就任当初の考え方について紹介しました。

海外留学の経験などを活かしながら「教科書通り」の経営で業績を伸ばしてきた星野氏ですが、その経営のベースにある価値観について、今回は紹介します。

「リゾート運営の達人」として、運営に特化

出典:【公式】星野リゾート|歴史のご紹介(星野リゾート公式チャンネル / Hoshino Resorts)

星野氏の星野リゾートの経営における、最も大きな特徴は「運営」に特化していることです。

不動産の「所有」と施設の「運営」を両方手がける経営者や、「資本」あるいは「金融」にあたるファンドまで手がける投資家が多い中、あくまで「運営」に特化し、サービス提供の質にこだわるのが、星野氏のスタンスです。

一般的には、「所有」した方が収益は大きいと言われますが、星野氏は、所有することによる動きにくさよりも、「運営」に特化すれば展開のスピードが高まることを重視しています。

また、「運営」に特化することで、現在では、不動産投資の銘柄としても注目を浴びています。

新しいリゾートを立ち上げてから収益が安定するまでの間は投資ファンド向けに、
収益が安定し投資先としてのリスクが下がってからはREIT向けの銘柄としてなど、
「所有」や「資本」を手がけないメリットも活用して、投資先としても価値を向上させています。

「運営の達人がいれば、資本は海外からでも入ってくる」、「国際的な日本のリゾート産業の競争力を上げることにも繋がる」と考え、「運営」に特化するという方針をとっているのです。

「ニッチを攻める」明確なターゲット戦略

2つ目に、顧客のターゲットを絞ることが挙げられます。いわゆる「ニッチ戦略」です。

単に、顧客数の最大化を狙うのではなく、「こういう顧客なら、来れば120%満足してもらえる」 という顧客に絞って、メリットを訴求し効果の最大化を狙っています。
お子様と一緒でも来やすい、「家族連れをターゲットにしたリゾート」など、リゾートによってターゲット設定がされています。

さらに、星野リゾートでは、リピーターを増やすことも重視しています。
そのために、来ていただきたい顧客の属性に明確に訴えるコンセプトを作り、サービスの提供に繋げています。

フラットな組織の徹底

3つ目のポイントは「言いたいことを言える場を維持する」ことです。

星野リゾートでは、いわゆる社長や支配人のトップダウンにこだわる文化はなく、役職に関わらず「同じテーブルで議論できる文化」というのを大切にしています。

「議論を優先すれば結論が一向に出ないこともある」、
「トップの鶴の一言で決めた方が早い」という考えもあるかもしれません。

しかし、星野氏は、時間や労力が掛かっても現場にいるスタッフの意見や議論を大事にし、「現場で起こっていることをより多く知っているスタッフが自分で議論を導いたほうが、より正しい判断につながる」という価値観をベースにしています。


また、若手の意見を活かすことも大切にし、20代・30代の情報感度の高さを意識して、敢えて若者に響くようなフレーズをキャッチコピーに採用するなどしています。

「観光をヤバくする」というキャッチコピーは、その一例です。
社員全体を見れば、フレーズに対して違和感がある社員も当然いましたが、キャッチコピーが一番使われるであろう採用活動の時に、20代・30代に響くフレーズを使うことが重要と考え、このキャッチフレーズが採用されていました。

「教科書通り」で教科書にない課題をクリア


星野リゾートは、いわゆる家族経営で、そこだけ切り取ると内向的な価値観をイメージしがちかもしれません。

しかし、家族経営、さらには非上場という点のメリットを活かせば、長期的な発展を見て、目の前の大胆な判断ができると星野氏はいいます。

今回紹介した価値観が、星野氏の大胆な判断や、事業展開のスピード、そして星野リゾートの業績の伸びの根本にあるのです。

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