前回の記事に引き続き、
『草開千仁(くさびらきちひと)』さんが代表取締役を務める株式会社ウェザーニューズの記事になります。
前回の記事では、株式会社ウェザーニューズの事業内容について書きました。
今回の記事では、前回の記事で持ち越しとなっていた「株式会社ウェザーニューズの創業秘話」に関してです。
創業秘話こそ、経営者の価値観や考え方に触れる絶好の機会だと思います。
世界No.1の民間気象会社は、どのように生まれたのでしょうか。
株式会社ウェザーニューズ創業のきっかけは「海難事故」
株式会社ウェザーニューズの創業者は「石橋博良(いしばしひろよし)」さんです。
この方は以前の記事でも少し登場していますので、興味のある方は下記をご覧ください。
就職活動の一環で、草開社長が気象庁に出向いた際に、
民間気象会社である「株式会社ウェザーニューズ」を知った当日に、急遽お会いした前社長です。
「Wether Never Sleep だからだよ。
天気は眠らないんだ、そしてお前は天気が好きなんだろう、ならばお前も眠らずに働くんだろう、
だったらウェザーニューズに来い。」
創業者である石橋さんの言葉に、心を鷲掴みにされた草開社長がその場で入社を決めたという話もありましたね。
そんな石橋さんは、1969年3月に北九州大学を卒業し、安宅産業(現:伊藤忠商事)入社。
木材建材本部米材部に配属され、社会人としてのキャリアをスタートされました。
そして、創業のきっかけとなる出来事が起こったのは、安宅産業(現:伊藤忠商事)に入社して約10ヶ月後の話です。
1970年1月。
当時、約5,000本の丸太を積んだ15,000万トンの船を石橋さんが担当されていたそうです。
もともと寄港を予定していた大阪港は混雑していました。
「大阪港に寄港するなら、約10日間は待たなければならない」という情報を得た石橋さんは、寄港予定を大阪港から福島県いわき市の「小名浜港」に変更したんですね。
そこになんと「爆弾低気圧」が襲来
温帯低気圧の中心気圧が24時間で 24 × sinφ/ sin60° 以上、下がる(φ:緯度)
例えば北緯40°(秋田)なら17.8hPa/24h、北緯35°(名古屋)なら15.9hPa/24h、北緯30°(屋久島の南)なら13.9hPa/24hの気圧低下が基準となります。
一方、気象庁では爆弾低気圧ではなく、『急速に発達する低気圧』などと言い換えるように推奨していますが、『急速に発達する』とは、低気圧の中心気圧が12(24)時間以内で約10(20)hPa以上下がる事で、厳密には、爆弾低気圧の定義とは異なります。台風も対象になっています。
引用:頭痛や体調不良やを起こす爆弾低気圧とは。時期や季節は?
「爆弾低気圧」の直撃を喰らった船は沈没し、乗組員15名が命を落とすという事故が起こりました。
当時の気象技術では台風の発生を予測するのは難しく、また、船乗りのための気象情報サービスもありませんでした。
「本当に役立つ気象情報があれば、この事故は防げたかもしれない」
船乗りの命を守るという想いから、気象業界の道に進まれたそうです。
そして、1986年に株式会社ウェザーニューズを創業することになります。
常に存在理由や目的に立ち返ることが大事
海難事故がきっかけで株式会社ウェザーニューズは誕生しました。
そして創業者である石橋さんの想いを、草開社長がしっかりと引き継いでいます。
草開社長の「いざというとき人の役に立ちたい」というコンセプトが、
気象に関しての技術革新を起こし、さまざまなサービスを生み出す原動力になったんだと思います。
草開社長はこう言います。
「気象情報は分からないことが多い。
雪の予測も不十分だし、地震の予測も不十分、津波の予測も難しい。
だからこそ、技術革新に余念がない。」
最近は地球温暖化によって、異常気象や気候変動、自然災害が多発しています。
特に日本は自然災害が非常に多い国なので、正確な気象情報のニーズはこれからも高まるでしょう。
実は、株式会社ウェザーニューズの会長室には、創業のきっかけである「海難事故」を決して忘れないように、
当時の事故の新聞記事を(朝日新聞 夕刊 1970年(昭和45年)1月31日付)を掲示してあるそうです。
人の命に密接に関わる気象情報を扱うからこそ、存在意義や目的に常に立ち返ることを大事にしているんですね。
もちろん、株式会社ウェザーニューズだけではなく、
どの法人や個人も、存在意義や目的から事業を展開しているのかどうかが大切だと考えています。
事業を継続発展させていくためには、存在理由や目的から事業展開していることと、
どこまでいっても「人の役に立つ」ことがとても大事だということを改めて学びました。