谷村格さんが国内医療従事者のニーズをつかみ提供する『M3(エムスリー).com』

今回は、マッキンゼー・アンド・カンパニーを退職後、エムスリー株式会社を立ち上げ、立ち上げたエムスリー株式会社は2017年に米Forbes「世界で最も革新的な成長企業」で5位(日本企業の中では1位)に選出され、2022年には長者番付10位になった谷村格(たにむら いたる/Itaru Tanimura)さんについて記事にしていこうと思います。

最新“日本の長者番付”トップ100 1位・孫氏4.9兆円、2位・柳井氏2.4兆円/マネーポストWEB

マッキンゼー・アンド・カンパニーから独立

谷村格さんは1965年生まれ、国際基督教大学卒業後1987年にマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社します。ヘルスケア領域にて成果をあげ、1999年にマッキンゼー・アンド・カンパニーでパートナーになります。

当時谷村格さんはヘルスケア業界でコンサルティングを務めていました。谷村格さんは現在NURO光などを手掛けているソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社(当時ソニーコミュニケーションネットワーク/So-net)に医療サービス立ち上げのアドバイスをしていましたが、そこから共同出資という形で、2000年に谷村格さんが30歳の時に独立。ソネット・エムスリー株式会社を設立します。

エムスリーという社名には、Medicine(医療)・Media(メディア)・Metamorphosis(変革)の頭文字をとってM3(エムスリー)としたそうです。インターネットというメディアの力を利用して医療の世界を変えていくことを事業目的にしています。

コンサルティング時代の経験を生かしたサービス

最初のサービスは『MR君』。MRはMedical Representativeの略で、「医薬情報担当者」と呼ばれます。医薬品メーカーで医師や病院向けに営業をおこなう人で、医薬品メーカーと医療従事者の間に立つ情報の橋渡し役をおこないます。

谷村格さんはコンサルティング時代から製薬会社の経営改善において、MRに関するコストカットをするために、MR主体の営業からウェブを使ったマーケティングに改善を提案していました。

『MR君』は医薬品、疾病、治療等医療に関する情報の提供するツールで、登録することで、製薬企業からダイレクトに豊富な情報を得ることができ、また相互コミュニケーションも可能になるサービスです。

また、医師向けのポータルサイト『m3.com』を運営し、医療関連のニュースや医師や看護師同士が交流する掲示板や転職支援サービスなどを行っています。2022年現在30万人以上の医師(全国の医師の90%以上)が登録しているサイトとなっています。初期には、医療従事者向けの専門紙にお金をかけて広告を出してみましたが、全く会員が増えなかったという経験もしています。地道な医師同士の口コミや広告、SEOを試行錯誤しながら登録者数を増やしていったようです。

2004年に東京証券取引所マザーズ市場上場、そして2010年に現在のエムスリー株式会社へと名称を変更します。

LINEと提携してオンライン診断の新サービス

2019年からLINE株式会社と共同出資で、LINEヘルスケア株式会社を設立しました。
国内月間利用者数7,800万人いる『LINE』と日本の臨床医の90%が登録している『m3.com』の組み合わせにより、『LINE』を活用した遠隔健康医療相談サービスの開始しました。『LINEドクター』というサービスで、『LINE』アプリ上で診療の予約、無料ビデオ通話での診療、決済をできるというだけでなく、2022年12月から処方薬の配送サービスも開始しました。
コロナ化において、オンラインで診療をできることでリスクを減らせることや、オンラインで時間を決めて診療ができるため便利さを感じているユーザーが多いようです。

そんな成長もあって、2022年版のデータでは長者番付10位になっています。
持株は下記に記載のエムスリー株式会社のみですが、成長に伴って株の保有額も10倍近くまで増えている時期もあったので、その影響も大きそうですね。

現在大株主となっている投資先(2022年10月現在)

①エムスリー株式会社 19,466株(2.90%)
インターネットを活用した医療関連事業

業界を深く知ることでニーズをつかむ

業界に携わり続けているからこそ潜在的なニーズを発掘し、インターネットという技術を使って、サービスとてして提供することで圧倒的な成長をしているエムスリー株式会社。
LINEとの連携など、今後もいろいろな企業とタッグを組みながら成長してくのが楽しみです。

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