前回が森川智之さんの声優としてのキャリアについて触れてきました。
今回は社長として養成上の講師として大事にしていることについて書いていこうと思います。
森川智之さんが声優として理想の事務所
森川智之さんは2011年4月にアクセルワンを設立しました。
独立するにあたって、しっかり義理を通し、お世話になったアーツビジョンとじっくり話し合い、丁寧に進めていったそうです。
当初個人事務所の予定でしたが、現在はBLACK SHIP株式会社の代表取締役になった福山潤さんが参加することになり、震災もあり波乱のスタート。
役者が自分のやりたいことをぶつけられる風通しの良さ、変な方向に進んでいるのであれば、なぜその方向に行きたいのかじっくり本音で話し合える森川智之さんが声優として理想とする事務所を目指しています。
森川智之さんが声優をやっていた経営者だからこそ、マネージャーと声優の両方の意見が分かり、中立的に橋渡しが可能です。 だからこそ、真に役者のやりたいことを本気で話し合える事務所になったのだと思います。
声優になるために大事にしていること
アクセルワンの設立と同時にアクセルゼロという2年制の声優養成所を開設しました。 森川智之さんは講師として教える中、声優を目指すために大事にされていることがあります。
アニメを楽しむファンより演じるプレイヤーでいろ
「声優になりたいならば、アニメばかり観ていたりゲームばかりしていてはダメだ」
アニメが好きであろうが、漫画やゲームがどれだけ好きであろうが、それは声優になれるかどうかには関係ないと考えているようです。
声優であるからは演技をすることを通して、作品にかかわっていきます。
演じる幅を広げることに時間をかけるべきだと考えています。
演じる幅を広げるためには、街に出て人間観察をするのもよし、これまでにない体験をするもよし、経験値を積んでいくことが重要になります。 消費者ではなく、演じることの重要性に気付いた人から、作り手としての「声優」になっていくと思います。
感情をしっかり開放する
感情が表にでないと、言葉としかセリフが出てこずに同じような演技になってしまったり、わざとらしい演技になったりしてしまうそうです。
演じるためには。喜怒哀楽の感情をしっかり、自分の記憶の引き出しから呼び起こす作業が必要になります。
例えば、
悲しみを表現するときに、おじいちゃんがなくなったことが悲しいのであれば、それを思い出しながら演じます。
また、楽しさを表現するときに、友達としていたたわいもない会話が一番楽しかったのであれば、それを思い出して演じます。 そういう観点でも、経験値が多ければ多いほど感情の演技の幅は広がっていきます。
人の振り見て我が振り直せ
声優として生きていくためには、自分の頭で考えていくことが重要になります。そのために、教えるときにも、1~10まで全部を見せるというよりは、ちょっとだけ垣間見せることを意識しているそうです。垣間見せる中で1を分かる人は2,3と考えていき、それが正しい成長につながっていくと思っています。
選抜クラスでも30人いる中で、全員に一人ずつアドバイスしていくことは困難です。人にしているアドバイスを、他の人に向けたアドバイスだから自分には関係ないとするのか、自分ごととして捉えるのかで成長が大きく変わります。 質問の内容によっては「向いてないよ」と厳しく伝えることもあるそうです。
語彙力をつける
声優という仕事は文章と付き合っていく仕事です。
「声優になりたいのであれば日本語力を必ず身につけてください。学生であれば、国語の成績でトップを目指してください。」
と伝えているそうです。
アニメやゲームばかりに意識がいると気が付かない人が多いですが、台本は文字で書かれています。
書いてあるものをスラスラ読めるようでないと、内容を正しく理解することもできないです。特に、日本語力が低下しているといわれる最近だからこそ、学校でトップになるくらいのつもりで日本語を磨いていかないと正しく台本を理解できなくなります。
読書も自分の頭で考え、知識を自分のものにしていくことが大切です。 話す活舌の観点では森川智之さん自身「外郎売り」をつねにやって練習をしています。
憧れだけではなれない声優という仕事
森川智之さんは社長として、養成所の講師として声優をしっかり育てていく観点から仕事されています。憧れで声優をなるのではなく、仕事として声優をとらえているからこそ、後輩声優や養成所の学生にもしっかり向いていないなど伝え、楽な道ではないことも伝えられる優しさを持っているなと思いました。